ペッパー(コショウ)

数あるスパイスの中でも一番知られているものといえば「コショウ」だと思います。材料の下ごしらえの段階で、調味した材料を料理する段階で、そして、でき上がった料理を食べる人が好みに合わせて味を整える段階などの様々な段階で使用されることから、「

スパイスの王様

」とも呼ばれる。

ペッパーという言葉は、もともとインドの古語である”サンスクリット語”の「ピッパリー(長こしょう・ロングペッパーを意味する)」に由来しており、インドでは今から約2500年前の紀元前500年代には人々の食生活に取り込まれていたようです。ペルシャ人やアラビア人の手によって地中海沿岸各国へ運ばれたコショウは、古代ギリシャでは医薬品として、またローマ帝国では金銀とならぶ貴重な貨幣の一つとして使われていました。

中世ヨーロッパで、防腐剤や臭み消しに利用されるようになったコショウは、遠くインドから長い年月と労力をかけて運ばれていたため、ヨーロッパに到着するころには大変な貴重品でした。一握りのコショウの価値は、牛一頭分に相当するほどでした。このため、当時は金銀財宝用の精密な量りを使って1粒ずつ量り売りされ、貴族の家では純銀製のツボに入れられていたとか。また法貨の一つとして通用していたため、ドイツでは役人の給料をコショウで支払い、イギリスでは地主たちが小作料や地代をコショウで支払うよう要求したため、「

コショウの実(み)地代

」(Peppercorn rent)という言葉が残っているほどです。

あの有名なマルコ・ポーロの「東方見聞録」にも、中国で大量のコショウが消費されていたこと、ジャワが高価なスパイス類の宝庫であることが記されています。その影響から、東洋進出を目指す冒険者たちによる大航海時代が始まりました。薬としてシナモン、クローブ、甘草、じゃ香などとともに、コショウが含まれており、少なくとも西暦749年以前には日本に伝来していたようです。

ペッパーは収穫のタイミングや製法の違いにより4種類に分けられる。

黒胡椒(別名:ブラックペッパー)

胡椒の木から採れて

完全に熟す前の実を長時間かけて乾燥させたものである

。熟す前の実を胡椒の木から取り完全に長時間かけて乾燥させたものである。世界中のあらゆる地域を旅しても、塩の隣にブラックペッパーの小瓶が並んでいると言われているほどである。強い独特の風味があって、特に牛肉との相性が抜群である。

白胡椒(別名:ホワイトペッパー)

赤色に

完熟してから収穫したのち、乾燥させた後に水に浸し外皮を柔らかくして剥いたもの

である。ブラックペッパーより風味が弱く、魚料理に向いている。薬用には一般にこれが使われる。

青胡椒(別名:グリーンペッパー)

完全に熟す

前の実で収穫する

が、ブラックペッパーと違い

塩漬けまたは短期間で乾燥したもの

。「爽やかで特徴のある辛み」があり、肉料理や魚料理との相性が抜群である。タイ料理やカンボジア料理では、香辛料としてではなく、実を炒め物の「食材」として調理する。ちなみに「グリーンペッパー」という呼び名は、「ピーマン」を指すこともある。

赤胡椒(別名:ピンクペッパー)

赤色に完熟してから収穫するが、ホワイトペッパーと異なり

外皮をはがさずにそのまま使用する

。ペルーなどの南アメリカの料理で使われることが多く、マイルドな風味であり、また色合いもよい。ちなみに赤胡椒を直訳すると「レッドペッパー」だが、これは唐辛子のことを指してしまう。