皆様は「煎り酒」という調味料をご存知でしょうか?まだ醤油が広まる前、室町時代から江戸時代にかけて庶民に愛されていた調味料です。

主に醤油の代わりとして使われていた煎り酒は、醤油よりも塩分控えめでさっぱりとした味わいが特徴。昆布や鰹節の旨味を日本酒が引き立て、梅干しの塩味とまろやかな酸味が、食材を優しく味付けしてくれます。

そんな煎り酒は、手間を惜しまなければ難しい技術も要らず、ご家庭で簡単に作ることができます。身体にも優しい万能調味料・煎り酒の、簡単な作り方やおいしい活用術をご紹介します。

古き良き万能調味料!煎り酒の作り方

【材料】

  • 昆布       10g
  • 日本酒      720ml
  • 梅干し(種ごと) 60~70g
  • 鰹節       30g
  • みりん      少々

【作り方】

  • 昆布を硬く絞ったおしぼりで拭いて汚れを取り、鍋に入れたら日本酒を注ぎ半日程度置きます。
  • 昆布を入れたまま中火にかけ、沸騰直前になったら昆布を取り出します。
  • 梅エキスが出やすいように潰した梅干を種ごと鍋に入れ、鰹節も入れ、沸いたら弱火にして煮詰めます。
  • 全体が2/3くらいの量になったらみりんを入れ、火を止めてそのままゆっくり冷まします。
  • 冷めたら目の細かいザルにさらしをひき、濾して保存瓶に移したらできあがり。

煎り酒はもともと、日本酒に梅干しを入れて煮立て、濾したものが原型だといわれています。現代の食生活に合わせるとそれだけでは少々旨味が足りませんので、ここでは旨味をプラスした作り方をご紹介しました。

煎り酒作りに細かいテクニックは必要ありませんが、シンプルな材料で作るだけに良い素材を選びたいもの。日本酒は純米酒を選び、梅干しは減塩タイプ・はちみつ梅などの甘い梅ではなく、昔ながらの塩辛い梅干しがおすすめ。

コツは、昆布を入れて火にかけたら、昆布を取り出すまで絶対に沸騰させないこと。沸騰させてしまうと昆布のえぐみが気になってしまいます。完成した煎り酒は冷蔵庫で2週間ほど保存可能です。

幅広く使える調味料・煎り酒活用術

煎り酒は魚貝類との相性抜群。古くは刺身醤油代わりに使われていたので、まずはお刺身に添えていただきましょう。醤油より塩分控えめながらも、日本酒のふくよかな旨味と鰹節の香りで、飽きることなくいただけます。

またお刺身のヅケに利用すれば、身が硬くなることなく柔らかな仕上がりになります。焼き魚にそのままかけてもおいしいですし、ブリを煎り酒でマリネして照り焼きにしても、ふっくらおいしくいただけます。

生魚の中では特に白身魚との相性が良いので、オリーブオイル・黒胡椒を加えて白身魚のカルパッチョにもおすすめ。オリーブオイルと黒胡椒を加えた煎り酒は、そのままドレッシングにも利用できます。

そしてオリーブオイルをごま油に変え、もやしや葉野菜と和えれば、ナムル風にも楽しめます。

他にもそのまま天つゆに、煮物やおひたし・浅漬け・お吸い物にも利用でき、ふくよかな旨味はあさりの炊き込みご飯や卵かけご飯などのご飯もの、和風パスタにもおすすめです。意外なところでは納豆のたれにも合います。

日本古来の日本酒調味料・煎り酒を取り入れよう

日本伝統の調味料・煎り酒は、近年料亭や小料理屋でも見かけることがあり、静かに広がりつつあります。ここでは現代風にアレンジしたレシピをご紹介しましたが、魚醤や柚子の皮・柚子胡椒との相性が良いので、ご家庭でオリジナルの味を研究してみてはいかがでしょうか。

また、残った梅と鰹節にはまだ風味が残っていますので、味噌・葱・白胡麻を加えれば、ご飯のおともに変身します。余った日本酒でも作れますので、ぜひ試してみてくださいね。