生春巻きやフォーなど、女性を中心に人気のベトナム料理は南北に長く、南はタイ料理のような辛味の強いものが多く、北は中華粥のような優しい味付けの料理が多くみられます。しかし辛味が強い料理もありますが、全体的には他のエスニック料理に比べて辛味は少なく、中華料理ほど油も強くありません。

中華料理とフランス料理の影響を強く受けながらも独自の進化を遂げたベトナム料理は、米を主食とし、ハーブや野菜をたっぷり食べることから、ヘルシーで日本人の口にも合うものが多いのです。

そんなベトナム料理には特徴的な調味料があり、その調味料を使いこなすことでベトナム料理をより楽しむことができます。ここでは、ベトナム料理に欠かせない調味料をご紹介します。

ベトナム料理の基本となる調味料・ニョクマム(ヌクマム)

タイ料理では“ナンプラー”と呼ばれる「ニョクマム」は、小魚に塩を加えて発酵させたベトナムの魚醤ともいえる調味料です。初めて味わう方は、強烈な香りと強い塩気で驚いてしまうかもしれません。

しかしそんな個性の強いニョクマムを料理に少量用いると、今度は味の深さに驚くことでしょう。スープや汁物に加えればやわらかな塩味とふくよかな旨味を与え、炒飯や炒め物に加えれば魚を焼いた時のような芳ばしさが加わり、味に奥行きが生まれるのです。

またベトナム料理はタレや調味料をよく使いますが、そんなタレや調味料のベースとなっているのもニョクマムであることが多くあります。ニョクマムは出汁文化のないベトナム料理に豊かな風味を与え、味の下支えをしてくれる調味料なのです。

個性豊かな発酵調味料・マムの使い方

ベトナムの調味料は発酵した調味料・マムが多く、ニョクマムもそのひとつ。マムの数は30種類以上あるとも言われ、地域によって味わいが違うのが特徴です。ここでは数ある発酵調味料の中から、ペースト状や半固形で比較的有名なものをご紹介します。

  • マムトム 海老を発酵させた調味料で、日本の塩辛を濃厚にしたような風味。金柑を絞ってタレにしたりスープに溶いたり、炒め物に深みを与えます。個性が強いので好き嫌いが分かれる調味料。
  • マムカー 魚を発酵させた調味料で、日本の熟鮓(なれずし)に似た風味があります。ベトナム南部にはマムカーを使った汁麺通りがあるほどメジャーな調味料。
  • マムネム マムカーとパイナップル・生姜・にんにく・赤唐辛子・砂糖をすりつぶし、レモンで伸ばした調味料。生春巻きやしゃぶしゃぶのタレに使われます。

ベトナムのマムはどれも個性的で好き嫌いの分かれるところですが、柑橘類やハーブ・唐辛子などと相性が良く、ベトナムの食文化に豊かな風味を与えています。

バリエーション豊富な風味塩

ベトナムでは主に海水塩が用いられていて、昔から塩に様々なスパイスや食材を混ぜ、各家庭独自の風味塩を作っていたのだそうです。その名残からか、食卓にはライム塩・唐辛子塩・レモングラス塩・海藻塩・エビ塩など、様々な塩が並びます。

中でも料理によく用いられているのがbot canh i otと書かれた調味塩で、日本ではスープの素として販売されています。ベトナムでは料理の味付けに塩の代わりに使われたり、ライムを絞り唐辛子を混ぜて蒸した魚や鶏に添えたりして利用されています。

ベトナム調味料を使い方を学ぼう

ベトナム料理はこのような個性的な調味料を少しずつ使い、タイバジル・レモングラス・ミント・コリアンダーなどのハーブや、ライム・金柑などの柑橘類、唐辛子・にんにく・カーといった野菜を合わせて、絶妙なバランスで成り立っています。

個性的な調味料は大量に使うものではなく、あくまでも少量。その独特な風味は、ベトナムの優しい味付けに深みを与え、伝統料理を守ってきてくれました。皆様も味わい深いベトナム調味料を理解して、普段の料理に少量ずつ取り入れてみませんか?